はじめに

皆さん、こんにちは。 『大学入試地学 -記述論述問題集-』 のホームページへようこそ。 

このサイトは、国公立大学の理科系を志望されている受験生の中で、『地学』が得意で、二次試験本番では高得点を狙える切り札にしたい、あるいは、他の『理科』の科目が難しく、成績が頭打ちなので『地学』に活路を見出したい、という方のために、二次試験『地学』攻略の強力なツールを提供する事を目的に開設しました。

超マイナーな理系科目 『地学』

大学入試で『地学』は極めてマイナーな科目です。

近くに大きな書店があれば、学習参考書のコーナーを訪れてみて下さい。『英語』や『数学』、『物理』や『化学』等他の科目と比べて、圧倒的に存在感が薄く、関連書籍は本棚の片隅にひっそりと追いやられているでしょう。センター試験『地学』の問題集には需要がありますが、記述・論述式の本格的な問題集は殆んど皆無な状況です。予備校などの講座も同様です。

理由は極めて単純です。 二次試験で『地学』を選択できる大学・学部が限られているからです。

調べたところ二次試験で『地学』を個別に出題している国公立大学は46校あります。しかし、東京大学でこそ全ての受験生が選択できますが、それ以外の大学は一部の理・農・教育学部のみ受験可能で、時には受験者が全くおらず試験自体が流れてしまった場合もあります。私立大学に至っては、片手で数える程の学部でしか出題されていません。

実際、二次試験で『地学』を選択する受験生は、全大学合わせても年間せいぜい数百人程度でしょう。受験業界にもビジネスの都合がありますので、二次試験『地学』のように小さ過ぎて旨味のない市場に資本と労力を投入したくありません。それならば、文系受験生の需要が見込めるセンター試験『地学』や、他の科目に注力した方が合理的なのです。

実は身近で面白く、必要性も将来性も高い『地学』

存在感の低下傾向著しい『地学』ですが、実社会における重要性はかつてない程に高まっています。

3.11の東日本大震災と、それによる巨大津波や原発事故の影響は、経済や社会に深刻な爪痕を残していますが、地震や津波の発生メカニズム、その遠因となるプレートの移動などは『地学』のテーマそのものなのです。最近、首都直下型地震や活火山の噴火による災害の予測が報じられていますが、正しい危機感を持って対処するには『地学』の知識が不可欠です。

世界的に脱原発ブームで、自然エネルギーが脚光を浴びていますが、自然エネルギーの供給源である地熱や太陽光、風力や潮力が、どのようなものか理解し活用するには、『地学』の知識が前提なのです。 仮に原発を全廃したとしても、使用済核燃料の後始末の問題は残ります。 そもそも放射性物質とは何か、どこから来たのか理解するのも『地学』の一部です。

原発から自然エネルギーに切り替えるとしても、タイムラグは数十年掛かります。その間、安定的に調達できるという前提の上で、石油や石炭、天然ガス等を用いた火力発電に頼らざるを得ません。 そうした化石燃料がどのように生成して蓄積されたのか。また、二酸化炭素を排出し続ける事による環境への影響はどのようなものか。これらを考察するのも『地学』の課題です。

化石燃料の安定的な調達を妨げる要因としては、中東や周辺諸国の地政学的リスク(戦争やテロの事)や、燃料費の高騰による貿易赤字の拡大と、それに伴う財政的リスク等が挙げられます。 『地学』のテーマとは違いますが、重大な問題です。

エネルギー産業は、これからの時代の花形となる事は間違いありませんから、『地学』を今から率先して学んでおくメリットは計り知れません。しかし、それよりも何よりも、社会の根幹であるエネルギーや環境、防災を論じるには『地学』の知識が必須で、それを欠いてしまうと、目先の利益や人気取りの言説に惑わされ、扇情的な報道に流されて、合理的な判断ができなくなってしまうのです。

天文学も熱い分野です。最近、惑星探査機はやぶさや、皆既日食が話題となりましたが、最前線の研究では約137億年前の宇宙の誕生やその全貌について、興味深い発見が相次いでいます。時間も空間も桁外れなスケールの世界に視点を据えてしまうと、私達の身の回りの出来事など、塵芥のように瑣末な問題に思えてしまいます。

とはいえ、目前に迫った受験までどうでも良くなってはいけませんので、深入りをしないようにしましょう。とりあえず『地学』が私達の日常に密接に関わり、興味深いだけでなく重要性も将来性も高い科目である事は、十分にご理解頂けたと思います。

二次試験で『地学』を選択するメリット

『地学』をチョイスする利点、それは先ず第一に、短期間で合格ラインをクリアできる事です。

国公立大学の二次試験の合格ラインは、医学部を除く理系学部で、合計6割~6割5分程度でしょう。『地学』は言わば『理科の総合科目』であり『物理』や『化学』の基礎知識も必要です。もし既にセンター試験の『物理』や『化学』で7割取れる水準にあるなら、二次試験『地学』で合格点を取るのに、3ヶ月程度の準備期間でも十分に対応する事が可能です。

国公立大学の二次試験では『英語』や『数学』以外に『理科』も2科目選択しなければならない場合があり、『国語』を課される大学もあります。それ以前にセンター試験があり『社会』も準備しなければなりません。受験勉強は時間との戦いでもあります。 準備にあてられる全時間の1割以下で、合格ラインまで引き上げられる『地学』は、費用対効果の極めて高い科目と言えます。

第二に『地学』には知識量で対応できて成績が安定的という性質があります。『物理』や『数学』等はセンスを要する上、最初の設問でつまずくと連鎖的に失点し成績にバラツキが出る科目ですが、『地学』は設問ごとの独立性が高く、部分点を稼ぎ易い側面があります。これは大崩れするリスクが少なく、得点を確実に計算できるという事で、精神的な安定感をもたらします。

特に、東京大・京都大・東北大・名古屋大・九州大・北海道大・神戸大・筑波大・首都大学東京などの一流大学は『理科』2科目受験が必要で、なおかつ『地学』を選択する事も可能なので、『地学』が持つメリットを生かす戦略はとても有効です。 『物理』も『化学』も得意で、ハイレベルな出題をするこれら一流大学に対しても合格点を取れる方はともかく、『物理』や『化学』のいずれかがどうしても目処が立たないという方は、『地学』の選択を視野に入れてみるのも一つの方法です。

後は、二次試験に対応した問題集さえあれば、情報不足というデメリットは解消され『地学』を敬遠する理由もなくなるでしょう。

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